OTONOKO

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今でもはっきりと覚えている。
はじめてのイベントは、撮影の仕事で上司に連れられ行った
ゲストがDAISHI DANCEのイベントだった。
すれ違う人皆が知り合いで、あいさつをし、酒酌み交わし、盛り上がり、朝まで踊り明かす。
それまで人間関係が希薄だったぼくには、とても衝撃的な体験だった。

それから沢山のイベントに行き、沢山の人と知り合い、沢山の音楽に出会い、
季節が巡り、気付いたときにはクラブという場所から足が遠のいていた。

仕事が変わったことがきっかけだったのかもしれないし、
子供が生まれことがきっかけだったのかもしれない。
はっきりとしていたのは、以前あったはずの熱量が綺麗さっぱりと失われていたということ。

周囲の人も県外に出たり、結婚したり、子供が生まれたり、
商売を始めたり、失敗したり、成功したり、
あの頃と比べ、随分と状況は変わってしまった。

◆ ◆ ◆

“金沢でデカいイベントがあるらしいぞ”

イベントについて全くアンテナを張らなくなった僕に、ある日そんな情報が舞い込んできた。
「(はいはい)」と、内心思った。どうせ勝手に言ってるだけでしょう、と。
ただ、心のどこかで少し気になっている自分がいた。

ゲストが続々と発表になった。

『DAISHI DANCE』『80KIDZ』『CAPSULE』『KICK THA CAN CREW』『小室哲哉』

どのアーティストも、僕の青春をかたち取ってくれた人達ばかりだ。

『きゃりーぱみゅぱみゅ』『でんぱ組.inc』

少しずつ状況が変わりはじめた。
初めてクラブに行き、イベントに夢中だったあの頃の自分と今の自分を結ぶ、
一本の道を示されている気分になった。

「たまには遊びにおいで」

あの時、僕を初めてイベントに連れて行ってくれた上司から連絡が入る。
ずっと気にしていたイベント“OTONOKO(オトノコ)”のお誘いだった。

あぁ、こんなことってあるんだなと
二つ返事で快諾し、迷わずチケットを取った。

早朝に帰宅し、体に染み付いたタバコの臭いにウンザリしながらシャワーを浴びたあの頃。
夢のような体験の余韻に浸りながら、無言で歩いて帰ったあの頃。
プレイや曲に魅せられ、手を突き上げ精一杯叫んだあの頃。
全てに夢中だったあの頃。

10月2日、日曜日。
僕はあの頃の僕に会いに行く。

http://www.otonoko.com/